衣替えの季節となり,ブレザーに身を包んだ生徒たちが久しぶりの仏参で,秋の一日をスタートさせました。本日の法話は学年部長・社会科の井上先生です。
大浴場に入る時,見られたくないところを隠す私たち人間の心理を面白おかしく伝え,楽しい雰囲気を作った後「ふだんから本当の自分の気持ちを表に出せていますか?」という問い掛けで,お話が始まりました。
人は何から何まで感じたままを表現できない場合がある。十代の若者たちは学校という社会の中で「目立ってしまったり」だから「浮いてしまったり」つまりは,後ろ指を差されたりしないように本当の自分を押し殺して過ごしているのではないか。また同時に逆の立場を想定して,「嫌な思いをさせてしまわないように」そんなことをして「嫌われてしまわないように」常に気を使って生活しているのではないか。コロナ禍に着用しているマスクではない「仮面」で顔を覆っている高校生が少なからずいるのではないか。
面倒くさいことになるくらいなら,初めから関わらないように目をそらしてキャンパス内を移動し,教室という箱の中で,逃してはいけないクラスメートの一言一言に大きなアンテナを張り,ひっそりと過ごしているのではないか。こちら(教員側)から挨拶をしようと声をかけても,目の合う生徒は返事が返ってくるが,そうではない生徒たちは素通りして行ってしまうことが気になる。実は目を合わせることで発生する「責任」を恐れているかのようです。心を通じ合わせるために大切なコミュニケーションのきっかけなのに。
本当に心から笑えていますか?人に合わせて笑っているのではありませんか?労働を強いられ,満足に学校にも通えない発展途上国の,貧困に窮している子供たちは笑えます。満面の笑みで楽しそうに本音でおしゃべりします。いつ?「ともだち」と一緒にいる時や「家族」と過ごす時です。
人に合わせて生きていくのは疲れませんか?今感じている本当の気持ちを「知られたくないもの」・無意識にしている顔の表情を「見られたくないもの」としてしまわないで,隠さず,素直に表現できることが日常になって欲しい。