今日の仏参は
森本先生のお話でした。
とても難しいことを言われたり、
とても難しいことを前にしたとき、
誰もが絶対に無理と思ってしまいます。
15年くらい前のハンドボール部でのお話です。
現在は部員数に恵まれていますが、
当時は7人(試合に出場する為に必要な人数)に届くかどうかという
深刻な状況でした。
ハンドボールは見た目よりも実際にやってみると難しく、
最初はボールも握ることができなかったり、
シュートもなかなか決まりません。
また、しんどいという面もあり、
コート内を5分走り続けるだけでかなりきついのです。
4月に入部しても、夏頃には辞めてしまいます。
高校1年生の授業を受け持ったときは
生徒にハンドボール部をすすめたりしているのですが、
あるとき入部したいという生徒が声をかけてきました。
「左腕が無いのですが、出来ますか?」
その生徒には「やれるだけやってみよう」と言いましたが、
ハンドボールは片腕だけではとても厳しいのです。
また相手と接触するスポーツで怪我をする場合もあります。
高校体育連盟の専門委員長に連絡を取り聞いてみると、
「規定上は問題なく、過去にもそういう生徒もいた」
と言われました。
自分でも出来るのかやってみましたが、
片腕だけではボールのキャッチも難しく無理かもしれないと思いました。
その生徒が入部して、
片腕だけでは無理だと思っていたボールのキャッチは、
右肩に一旦当てるという独自の工夫でキャッチできていました。
またその生徒がいた年の新入部員の退部率はとても低かったのです。
とてもがんばっているその生徒の姿を間近で見ている他の部員は
弱音を吐くことは出来ないのです。
コートは狭くスピードが要求され、相手に突っ込んでいくハンドボールは、
次のプレーに早く移らなければならない。
右肩でしかボールをキャッチできないということが、
不思議と他の生徒のパスが定まっていきました。
相手が攻めてくるとき両腕で押さえれなくても、
相手の右肩を押さえる等の工夫、
そして周りに他の生徒がいち早くフォローに行く。
部全体の意識も高くなっていきました。
最後の大会で10分ほど出場しました。
みんながその生徒にボールを集め2本のシュートを決めることが出来ました。
相手がシード校で負けてしまいましたが、結果を残すことが出来ました。
閉会式では特別表彰を受けました。
特別進学コースの生徒で有名私立大学に合格し、
大学生でもハンドボール部に入部しました。
大学での試合を見に行く機会がありましたが、
高校のときよりもさらに上達していました。
無理と思ってしまったらそこが限界になる。
しかし限界というものはもっとその先にある。