ぼんやりと一日を送って、何をしたかわからないような生活ではダメですね。いつもいきいきした感受性をもって、生きていきたいと思います。そして、一日に何か一つは深く感じて、人生を豊かなものにしたいと思います。
『徒然草』に「雪の朝」のことが出ています。
「雪のおもしろう降りたりし朝」、兼好は知人に手紙を送りま
した。しかし、その手紙には、雪のことを何も書かなかった。
すると、その返事に、この雪いかが見る(この雪をどのように
ご覧になりますか)と、一言もおっしゃらないほどの、つむじ
まがりで、ものの情趣もわからない人のおっしゃることを、ど
うして聞き入れましょうか。かえすがえす情けないお心です、
とあります。雪を見ても「深く感じる」ことのなかった兼好が、手きびしく非難されたのです。
凛烈たる冬の寒気の中、テレビ画面から水仙の花が映し出されました。清楚で、可憐で、かすかな憂愁を漂わせていました。その美しさに心を奪われました。そして、この世に生まれてきて、水仙の花に出会ったなあ、としみじみ思いました。
いつも心をひらいて、深く感じる、このような気持ちでこの一年歩いていこう、と深く心に決したものです。