「もし、あの頃にもどれるのなら……」とのアンケート調査の結果、最も多くの票が集まったのが高校時代だったそうです。ただ単に「楽しかった頃にもどりたい」というのではなく、“現在抱えている悩み”のルーツをさかのぼると高校時代にたどりつく、という声も多く見られたそうです。まだ世の中の仕組みがよくわからないままに、将来の行方を左右する選択が迫っているのが高校時代ということでしょうか。
ふと、なつかしい思いから高校の卒業アルバムを開いてみると、当時の担任からのメッセージプリントが出てきました。その中のことばをを引用してみます。
一人ひとりがしっかり自立した個人として生きていかねばならない時代、ま ず第一は、 自分の内側から自分としての中味を充実させていくことです。自 分の考えと自分の言葉 を、そして自分でできることを、努力と鍛錬によって 身につけましょう。外見も中味も 全部正真正銘の本当の自分で作り上げるこ とが肝心です。こうしてできた本物の自分が、 内側から輝き出したものを 「個性」というのです。
第二は、自分をコントロールすることです。個性には良いものもあれば、悪 いものも あります。両方を持っているのが人間というものです。だから、悪 い面は切り捨てるか 抑制して出さないように、自分で自分をコントロールし なければなりません。欲望むき 出しの卑しい振る舞いや、傍若無人のわがま まな言動は、個人主義のはき違えです。自 分という個人の責任を背負って、 自分をいかにコントロールして生きるか、それがその 人の文化性というもの であり、この文化性こそ人として身につけるべき大切なものです。
第三には、自分という個人と同じ価値を持つ他人の存在を尊重し、他人との 関係を大 切にすることです。消費社会では、物と自分との関係は強くても、 他人との関係は忘れ られがちです。自己主張ばかりで他人を受け入れられな い人は、個人主義者でなく利己 主義者にほかなりません。そもそも人間は、 社会的存在のものであり、孤立状態では生 きていけない質なのです。自分だ けの内輪の世界に閉じこもることなく、自分を外に向 かって開いて、他人と のかかわりを持ちつつ生きていくことが肝要です。
高校生活の折り返し、高校生である君たちの輝きがまぶしいと感じています。