昨年度末manabaにあげたものを再掲します。
『論語』に言う。「吾十有五而志于学、三十而立」。十五歳のとき学問に生涯を捧げようと決心した。三十歳でやっと自信がつき独り立ちできるようになったという意味です。漢文のテキストに載っているから、知っている人もいるでしょう。ここから、十五歳のことを「志学」、三十歳のことを「而立」と言うようになったのです。
私も高校に入った頃、将来自分は学問によって身を立てようとはっきり考えていました。ただ文系を選択し、学部選択、十六、七歳では確固たるものを持たなかったので少々迷いはしましたが、結局日本文学専攻にしました。
ところで、みなさんはどうですか。とっくに十五を過ぎていますから、およそ目指す方向、ねらい所は決まっているでしょうね。三十にして立つべく、学に志していますか。
とりあえず大学入試目ざしてで結構。何か本当にできる自分になるために、一日一日努力を積みあげていかねばなりません。目標が見えない、自分が何になりたいかはっきりしないという人もいましょう。しかし、およその方向へ、まず歩き出すことです。
人生は山登りそっくりと言われます。何かを目ざして努力の毎日、労働の毎日なのです。爪先ばかり見て登っているようなものです。でも一歩一歩登る者は必ず頂に立てます。人生の喜びを味わうことができるのです。遠くから峰を仰いで、あの山は自分には合わない、この山はムリだと言って、平地をうろついているのでは…。
私がみなさんに強く望むところは、「まず目の前の山に登れ」ということです。何ほどかの山の頂に立つと、周りが展望できます。尾根を伝って別の頂へと縦走できます。多少のアップダウンはあっても、一度高い所へ上がっておれば、他へ移るのはたやすいことなのです。それなりに何かができる自分になっておれば、さらに求める別のものへ移っていけるのです。
高校生活最終学年が始まるにあたって、志を立ててください。「まず目の前の山に登ろう」と。自分がこれぞと思う山にまず登ってください。この一年志も新たに、一日一日を積み重ねていかれることを強く願っています。