さて、では今回は具体的にP.B.Aの紹介をさせていただきます。
学校は、ハワイのホノルル空港から車で約20分の距離にあります。有名なワイキキビーチや名所であるダイヤモンドヘッドに行く途中にありますから、日本人にもなじみやすい立地です。
総学生数が70名余りということですから、ハワイでも小規模な部類の学校でしょう。
案内してくださったのはお名前がパイパー当山先生という日系3世の校長先生でした。お顔はどう見ても日本人なのですが、日本語はほとんど使われず、会話は私の拙い英語力でコミュニケーションするしかありませんでした。
実際に訪問してみますと、やはり一つ一つの教室は狭く、20人が入れば一杯だろうというような大きさでした。
しかし、写真にもありますように敷地内には真っ白な仏教寺院がありました。様式としては、日本の寺院とはおよそ違っていて、インド仏教様式の寺院に思えました。また、寺院内部はキリスト教でよく見かけるような礼拝堂形式になっているのですが、正面には日本のどの本願寺寺院にも安置されている阿弥陀様がいらっしゃいました。
どのような宗教も伝播の課程で、その土地土地の風土や文化に影響を受けながら、定着していきます。
ネパールとインドの国境近くで生まれた仏教は北方ルート、南方ルートを辿りながら東漸して行く過程で、様々な文化の影響を受け、変化を遂げながら中国・朝鮮半島を通って日本へ伝来したのは皆さんご承知の通りです。私はP.B.Aの敷地に立ったとき、そんな仏教伝来の歴史を感じずにはいられませんでした。
参考までに、こういった仏教伝来の歴史にご興味をお持ちの方には、龍谷ミュージアムをお勧め致します。今は、「仏教の来た道」というテーマで展示が行われており、仏教初心者にも実に分かりやすい内容になっています。
さて、パイパー校長はお忙しいにも関わらず、学校中を案内してくださいました。授業中の教室にも招き入れてくださり、生徒や先生方ともお話ししましたが、ハワイだからと言ってしまえばそうなのですが、教室は実に自由な雰囲気に満ちており、先生と生徒の区別も難しいといったような感じでした。日本人の私からするともう少し規律的なところがあってもと思ったりしましたが、生徒に将来の進路などを尋ねると、各人が各人ともはっきりと自分の1年後、2年後の将来について語ってくれることには感心しました。これも文化の違いでしょう。
日系の学校らしく、授業の一つに和太鼓や剣道があったりします。敷地内には茶室があり、私も作法も分からないまま、お手前(お茶)をいただきました。
平安学園とは異質でありながら、しっかり仏教精神の根付いた環境を経験した留学生はきっと一回り成長して帰ってきてくれることでしょう。また、こういった環境で育った留学生を受け入れる平安学園生徒は、きっと彼、彼女から貴重な影響を受けることでしょう。
交換留学生の本質は、異質なものを受け入れ、異質なものに学ぶという、仏教の受容と寛容に通じる教えではないかと思える今回の訪問でした。
*写真左はインド式寺院前の親鸞上人像です。
そういえば、本願寺の直割寺院である本願寺築地別院もインド仏教式寺院と言われています。東京帝大教授であった伊東忠太氏による斬新なデザインで日本建築史に残る建物です。
*写真右は寺院前に掲げられた案内です。
5月19日に降誕会があることや、メディテーションが朝の9時に行われることが案内されています。
平成24年度平安会会長 木脇和政