2014年6月22日(日)午前10時から本校講堂におきまして『第1回高校受験対象学校説明会』を開催いたしましたところ雨でお足もとの悪い中、約350組の生徒・保護者のみなさまにご来校いただき心より御礼申し上げます。
学校長挨拶
あらためまして、みなさんおはようございます。本日は本校の「2015年度入試の第1回学校説明会」に、休日の朝の早い時間から、また足もとのお悪い中、お越しいただきまして誠にありがとうございます。
さて本学園は、今から138年前の明治9(1876)年、滋賀県彦根の地に「金亀(こんき)教校」として創立されました。 本校は、創立以来、親鸞聖人のみ教えに基づく心の教育を謳い、宗教的情操教育を理想としてきました。その宗教教育の原点は、何といっても、毎朝、仏さまにお参りする仏参でありますし、年間5回実施される宗教行事であります。それでは、龍谷大平安で何を学ぶのかについて、お話しさせていただきます。
昨年度の生徒手帳には、阿弥陀さまの光は常に私たちを照らし護(まも)ってくださっているということを示す『遍照(へんじよう)』を記させていただきました。いのちあるものすべてに等しく届けられている仏さまの光に気づくことのできる、そんな生徒に育ってほしいとの願いからこの言葉を記しました。そして、この私を救わずにはおけないという仏さまの願いを聞かせていただくために、仏参や宗教行事が行われるのであります。
今年度(2014)の生徒手帳に記しましたのは『智慧』であります。私たちが一般的に用いる人間の「知恵」とこの仏の「智慧」について考えてみましょう。
人間の「知恵」は頭が上がり、仏の「智慧」は頭が下がります。どういうことかと申しますと、人間の知恵は、私たちの方から色々なことを知りたくて、学び、覚え、理解するという知識、教養、学問の世界でありますから、知恵がつけばつくほど偉くなり、賢くなり、ますます頭が上がってきます。
しかし、仏さまの智慧とは、仏さまの方から私を照らし、目覚めさせてくださる働きですから、仏さまの智慧に遇えば遇うほど、自分の愚かさ、人間の欲の深さに気づかされ、ただただ頭が下がるばかりです。
龍谷大平安で学ぶのは、知識・教養・学問の世界だけではありません。今まで見えなかったこと、気づかなかったことを仏さまの智慧によって、気づかされ、目覚めさせてくださるのです。
人間は、知恵がつけば賢くなったつもりになるので、ついつい偉そうになり頭が上がり、素直に仏さまの教えに耳が傾けられなくなります。自分の知恵や力に頼り、自分一人の力で生きていると思いあがっている間は、頭が上がるばかりです。
しかし、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざがあるように、どんな社会の人でも本当に学問や人格が備わってくれば、自分の愚かさ、ちっぽけさに気づき、とても謙虚になってきます。
お釈迦さまは、ものごとの真実のすがたをありのままに見ることを諭されています。その“ありのままの真実”を見ること、それが「智慧」なのです。
では「ありのままの真実を見ること」とは、いったいどういうことなのでしょうか。
たとえば、「あの人はいい人だ」というときは、たいてい「自分にとって都合のいい人」であり、「あの人はダメな人だ」というときは、たいてい「自分に利益をもたらさない人」という場合が多いのではないでしょうか。同じように、「好き」と「きらい」、「可愛い」と「憎らしい」、「きれい」と「きたない」など、物事や人を、比較したり仕分けたりするのも、結局は、自分という“モノサシ”ではかっているのです。
仏教では、この自分の“モノサシ”こそ、あらゆる苦しみを生み出す元であるとされます。
仏の智慧は、この“モノサシ”を超えて、ものの価値を絶対平等に見る心の眼を開くことにあるのです。
私たちにこの「仏の智慧」さえあれば、愚かな行為は一切なくなるはずです。もちろん、いじめも虐待も、すべての悪行はなくなります。
本校の建学の精神である「ことば・じかん・いのちを大切に」という三つの大切が日常の心得として実践されることによって、仏の『智慧』を得ることができるのです。それが、こころを開いてものを見ることができるように、仏教的なものの見方ができるように、生徒たちがそんな人格を形成し、立派な人間になることに繋がるのであります。
まさに、知・徳・体の知育・体育の土台となる徳育、本校では宗育と申しますが、「こころの知性」(EQ)を磨く心の教育の実践であります。龍谷大平安がめざすのは「目に見える華やかさではなく“目に見えないもの”の本当の大切さ」に気づくことであります。
こころの教育とは、すぐに答えを求めるのではなく生徒一人一人の一生涯を見据えてしっかりとサポートすることでしょう。それは、高校の三年間に、どれだけの質のいい喜びの種を蒔けるかにかかっています。
龍谷大学付属平安高等学校は、この喜びの種を蒔き、そして花を咲かせることができるように、しっかりとサポートすることをお約束いたします。
このあと、具体的に説明いたしますので、よくお聞きになって、是非とも学校選びの一番に本校をあげていただきますよう切にお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
本日は、お忙しい中、お越しくださいまして誠にありがとうございます。