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平成26(2014)年度 龍谷大学付属平安高等学校 後期終業式 2015年03月09日(月)13時47分

学校長式辞

 みなさん、おはようございます。
 さて、昨年を振り返ってみますと嬉しいことがたくさんありました。まず、4月2日の硬式野球部の選抜大会初優勝であります。これはなかなか経験のできることではありません。第86回大会の初優勝ですから、それもみなさんの在学中に硬式野球部が果たした結果ですから、硬式野球部はもちろん、みなさんも私たちにとっても、たいへん誇らしいことです。
 続いて、5月16日に西本願寺の境内に並んで立つ重要文化財であった「御影堂」と「阿弥陀堂」が国宝になりました。そして、6月5日第24代即如ご門主がご退任され、翌6日、第25代 専如ご門主が法統をご継承されました。
 一週間後の6月13日37歳のお誕生日を迎えられた専如ご門主は、平安中学校・平安高等学校の卒業生であり、在学中は考古学クラブに所属されておりました。
 また、硬式野球部は夏にも甲子園に出場してくれ、春夏連覇の夢を見させてくれました。夢は初戦で覚めてしまいました。しかし、ご存知のように、この春の選抜大会も3年連続39回目春夏通算72回目の甲子園に出場してくれます。選抜大会の連覇という夢はつづきます。先日は人文字のご協力ありがとうございました。
 また、昨年夏は、常連のフェンシング部・チアダンス部、そして、2年連続の剣道部も全国に駒を進めてくれました。吹奏楽部もマーチングで近畿大会銀賞を受賞し、名実共に龍谷大平安の大フィーバーの一年でありました。
 そして、今年2015年に入って、陸上部が室内陸上で日本ジュニア室内陸上に出場してくれ、フェンシング部が18年連続、卓球部が17年連続、柔道部も90㎏級で1年の林 蒼太君が選抜大会に出場してくれます。さらに、みなさんの後輩、中学のチアダンス部が、ダンスドリル・ウィンターカップにおいて、団体総合で日本一に輝いてくれました。みなさんの活躍はめざましいものであります。元気な龍谷大平安の一年でした。
 それでは、三年生の卒業式にお話しました内容をご紹介いたします。
 私たちは、日々を健やかに過ごしたいと誰もが願っています。しかし、そもそも「健やか」とか「健康」とは、どういうことかとなりますと、なかなか答えるのが難しいです。それは、医学的なものだけでなく、メンタルヘルスの問題である「心の病」があるからです。こうしたものの多くが、日常的なストレスから、生ずるような社会になってしまいました。
 そこで、ある医療社会学者が、「SOC(首尾一貫感覚)」に注目されました。
 首尾一貫感覚「SOC」には、三つの要素があると言われています。すなわち「理解可能感」「処理可能感」「有意義感」です。簡単に言うと、「わかる感」「できる感」「やるぞ感」です。
一つ目の(わかる感)とは、自分の置かれている状況を、一貫性のあるものとして理解し、説明や予測が可能であるとみなす感覚のことです。
 二つ目の(できる感)とは、少々困難な状況に陥っても、それを解決し、先に進めるだけの能力が自分にはそなわっているという感覚のことです。
 三つ目の(やるぞ感)とは、今やっていることが、自分の人生にとって意義のあることであり、時間や労力などを費やす価値があるという感覚です。
 ということでおわかりのように、いずれも根拠はないけれど自分に自信が持てるということであり、この世の中に対する基本的信頼感でもあります。つまり、自分を(わかるぞ)、自分で(できるぞ)、よし(やるぞ)と自分で「感じられる」ことが大切なのであります。要するに、気持ちの持ちよう、心の有りよう、ということになりますね。
 では、どうすればSOCを高めることが出来るかというと、まず言えることは、さまざまな状況において、自分自身で判断し、自ら進む方向性を自分で決めるように意識することです。ただし「なんでもかんでも、自分で決める」という意味ではありません。積極的に行くか、流れに任せるかの選択も含めて自分から意識的に行なうという意味です。このような選択の場面では、自分で出来ることを見極めつつ、積極的に適度なストレスを引き受けていくことも、SOCを高めるには大切なことです。その際、一つはっきり言えることは、このSOCを高めるには、人間関係が重要であるということです。
 みなさん、高2は2年間、高1は1年間を振り返ってみて、学園祭などの学校行事やクラブ活動を思い出してください。そうすると、そのこと自体を成功させることが、「しんどかった」というよりは、むしろ、クラスやクラブでの人間関係を上手く持って行く方が「しんどかった」のではないですか。困った時や自分一人で理解できない状況を迎えた時、一人孤立したままではSOCを高めることは非常に難しく、「困った」とか「大変だ」と言い合える仲間がいるというだけで乗り越えやすさは格段に違ったのではないでしょうか。
 人間関係そのものを家にたとえれば、基本的生活習慣が、土台・基礎工事になります。その上に、社会人として必要な人間性という骨組みがあり、さらに、社会的経験を積んで身につけるマナー、人との付き合い方、コミュニケーション能力で〝家〟が形作られていきます。
 このマナーや人との付き合い方やコミュニケーション能力というのは、みなさんの今後に必要不可欠のものです。それが、良好な人間関係を築く礎(いしずえ)となる「人間力」なのです。学校という学舎(まなびや)は、勉強を学ぶことはもちろんですが、それよりも何よりも集団生活の中で人間関係を構築する修練の場です。その土台になる感性、つまり「こころの知性『EQ』」を磨く大切な期間です。これから、それぞれ3年生や2年生に進級しますが、SOCを上手く高め、良好な人間関係を作ってください。
 目に見える華やかさではなく“目に見えないもの”の大切さ、それは「こころの知性『EQ』」です。どうぞ、集団の中での良好な人間関係を築くための「こころの知性」の大切さを、覚えておいてください。われわれは決して一人では生きていけません、他に支えられて生かされているからこそ、人と人との関係性を何よりも大切にしなければならないのですよ。
 このことをお伝えして私の式辞といたします。