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平成26(2014)年度 龍谷大学付属平安中学校 卒業証書授与式 2015年03月14日(土)14時06分

学校長式辞
 春のお彼岸を目の前にし、校庭の紅梅も見事に花を咲かせ春の訪れを感じる今日の佳き日、龍谷大学付属平安中学校の第68回卒業証書授与式を挙行するにあたり、浄土真宗本願寺派社会部部長 白川了信 様、龍谷大学学長 赤松徹眞 様、法人理事・評議員の先生方をはじめ、学園同窓会、親和会・平安会の役員のみなさま、多数のご来賓のご臨席を賜りましたことに、理事長とともに、衷心より御礼を申し上げます。
 また、保護者のみなさま、ご子女の晴の卒業式典にご列席賜りましたことに、祝意ならびに謝意を表します。誠におめでとうございます。
卒業生65名のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
 それでは、みなさんに贈る言葉としまして、一つの映画を紹介し、お話しいたします。
 みなさんお馴染みの新垣結衣さん主演の映画『くちびるに歌を』が、先月2月28日に全国でロードショーされました。原作は「乙一」のペンネームでも知られる中田永一さんが、2011年に執筆した同名小説です。
 この小説「くちびるに歌を」ですが、内容は、2008年『NHK全国学校音楽コンクール』の課題曲となったアンジェラ・アキさんの楽曲“手紙 ~拝啓 十五の君へ~”がモチーフとなっています。この歌は、現在中学2年生のみなさんの入学式で少し触れたと思います。そのアンジェラ・アキさんが、合唱コンクールを通して交流した、長崎の五島列島にある若松島の中学生たちとのエピソードを元に書かれたもので、中学校を舞台とした合唱部のお話です。この長崎の五島列島と言いますと、卒業生のみなさんが研修旅行に行った小値賀島があるところですので、四方海に囲まれた素晴らしい風景が目に浮かぶことでしょう。
 主人公の少年少女は卒業生のみなさんと同じ十五歳です。男子嫌いの女の子と、友だちがいない男の子の、ふたつの視点を軸に描いた物語です。
 東京から故郷である長崎・五島列島に中学校の臨時教員として戻ってきたかつての天才ピアニスト・新垣結衣さん扮する柏木ユリを主人公に、合唱部の部員たちの姿が描かれています。その顧問である柏木先生に「15年後の自分」へ手紙を書くという課題を出され、誰にも言えない悩みや秘密を綴るという感動の物語です。
 それでは、みなさんの方がよくご存知かも知れませんが、アンジェラ・アキさんの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」の歌詞について、お話しさせていただきます。
 「拝啓 この手紙読んでいるあなたは どこで何をしているのだろう」で始まります。「今 負けそうで 泣きそうで 消えてしまいそうな僕は、誰の言葉を信じて歩けばいいの?」と質問され、「拝啓 ありがとう 十五のあなたに伝えたい事があるのです」と続き、その答えは「今 負けないで 泣かないで 消えてしまいそうなときは、自分の声を信じ歩けばいいの」と述べられています。つまり、「自分を信じ歩けばいい」と答えています。
 そして、「大人の僕も傷ついて眠れない夜はあるけど、苦くて甘い今を生きている、人生のすべてに意味があるから 恐れずにあなたの夢を育てて、Keep on beliebing」信じ続けて、「いつの時代も悲しみを避けては通れないけれど、笑顔を見せて 今を生きていこう ~ 拝啓 この手紙読んでいるあなたが、幸せなことを願います」と、励ましのエールを送ってくれています。
 ご本人のコメントによると、みなさんと同じ10代の頃「30歳の自分」に宛てて書いた、未来の自分への手紙が元になっているとのことです。
 今、紹介しました励ましのエール「今 負けないで 泣かないで 消えてしまいそうなときは、自分の声を信じ歩けばいいの」「Keep on beliebing」自分を信じて歩けばいいのです。龍谷大学付属平安中学校で過ごした3年間は、この自分に自信を持てることの根拠となる感性、つまり「こころの知性(EQ)」を磨いてくれる期間だったのです。
 さて、先週と先々週の二週間にわたり卒業生65人全員と数分間の面談をいたしました。平安中学の3年間を振り返り、今の気持ちは?という質問をさせてもらいました。全員が申し合わせたかのように、口を揃えて、「楽しかった」「充実していた」「成長できた」「良き仲間に巡り会えた」と言ってくれました。中には「小学校時代は人前で話すのが苦手だったけど、人前に出ても緊張しなくなった」と言う生徒や最後に何か言っておきたいことはないかと尋ねますと「三年間迷惑をかけてすいませんでした」と言う生徒もいました。素直にすいませんと言えることがとても嬉しかったです。
 いずれにしましても、満面の笑みを浮かべて「楽しかった」と言ってくれたことが何より、本当に心から嬉しく思いました。1日10人前後6日間のみなさんとのお話は、束の間でしたが本当に楽しかったです。みなさん一人一人の顔に、満足感や充実感が漲(みなぎ)っていました。私の方から感謝の言葉を言わせてください。「本当にありがとう!」
 最後に、このあと、平安高等学校に進まれる人、他校へ進学される人がいますが、どうぞ、龍谷大学付属平安中学校で身につけた、素直な心と謙虚な心を持って高等学校でも頑張ってください。
 感性豊かなみなさんに涵養した龍谷大平安の宗教的情操が、こうしてみなさん一人一人にしっかりと染み込んだことをたいへん嬉しく思います。この龍谷大平安が涵養した「こころの知性(EQ)」を基盤にして、未来に羽ばたかれんことを心より念じ、私の式辞といたします。