学校長挨拶
保護者のみなさまには、平日のたいへんお忙しい中、ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。平素は、学園に対しまして、ご理解とご協力を賜りまして、心より御礼申し上げます。
さて、明治9(1876)年、滋賀県彦根の地に「金亀(こんき)教校」として創立されました本校も本年5月21日で満139歳となります。その長い歴史と伝統の中で、私が第13代の校長を拝命したのが3年前です。
その私が校長職に就きました最初の年であります2012年は、IQのように数字では表すことの出来ない大切なものとして、EQを打ち出しました。EQとは、心の知能指数と呼ばれるものですが、本校では、「こころの知性」として、すべては、私たち一人一人の心の持ちよう、有りようですよ。私たちは自分自身でそれぞれの心をしっかりとコントロールしましょうと言ってまいりました。
2年目であります2013年は、生徒手帳を一新し手帳には私の書を記させてもらいました。仏さまがあたりくまなく照らしてくださっているという『遍照(へんじょう)』という言葉を記しました。到底、仏さまの真似は出来ないですが、私たちが、生徒たちの親のつもりで、生徒一人一人と膝と膝をつき合わせ向き合うことを望んでのことでありました。
3年目であります昨年度2014年は、他人の気持ちがわかる、相手の気持ちを慮(おもんぱか)る心を持ってもらいたいとの思いから『智慧(ちえ)』という言葉を記しました。
そして、今年度4年目に入りました2015年は、昨年度、相手の心を深く洞察することの『智慧』を記しましたので、今年度は、相手の悲しみや痛みが自分の悲しみや痛みとなる心、慈しみ寄り添う慈悲の心を持ち、共生(ともいき)の精神でこころの幹(き)を育てたいとの思いから、生徒手帳には『慈悲(じひ)』ということばを記しました。相手の悲しみや痛みが自分の悲しみや痛みと感じることが出来る、その心が慈悲です。
したがいまして、今年度2015年度のスローガンは「智慧と慈悲」です。
本校の教員の使命は、子ども達に寄り添う慈しみの心をもって、決して子どもに迎合するのではなく、共生の精神で生徒一人一人を大事にすること、そして、しっかりとこころの幹を育てる宗育を実践することであるとこのように考えています。
子どもは自分に都合の良いことしか言いません。それは、私たち教師だけではなく、親にでも一緒です。そんな中で、私たちは子どもに振り回されていないでしょうか。本当の意味で、生徒に迎合するのではなく、しっかりと子どもに、ダメなことはダメと言えているでしょうか。子どもにしっかりと我慢をさせているでしょうか。我慢が足りない子どもは、社会に出てから問題を起こす、あるいは、情緒不安定になるリスクが高いというデータが出ています。
とにかく、昨年度に引き続き、教員には、褒めるときはしっかりと褒める、叱るときはしっかりと叱る、ということを実践するようにと申しました。そんな中で、生徒との信頼関係をしっかりと築くためには、ねぎらい・気配り・人の気持ちがわかる上手な関係づくりを心がけなさいとも申しました。
子どもたち一人一人としっかりと対峙して教育に当たりますので、何とぞご理解をいただき、更なるご尽力を賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。