学校長式辞
みなさん、おはようございます。
さて10日前の3月9日、高校2年生と1年生約800人で雨の中、「人文字」を作ってくれました。硬式野球部が、第88回の選抜大会に4年連続40回目春夏通算73回目の甲子園に出場してくれますので、毎日新聞社がヘリコプターから空撮してくれたのです。
高校生は、それ以外にもフェンシング部男子が19年連続・女子が2年連続、卓球部男子が18年連続・女子が初出場、常連のチアダンス部、個人で陸上部の中村僚真君が日本ジュニア室内陸上に出場し8位に入賞してくれました。ゴルフ部の中野恵里花さんが全国大会に出場してくれます。競技かるた部も全国に駒を進めてくれました。各クラブの全国での活躍を心より期待しているところです。
また、みなさんの中学ではチアダンス部が、ダンスドリル・ウィンターカップにおいて、団体総合で2年連続で日本一に輝いてくれました。2月4日、本山に優勝奉告参拝に行きましたが、チアダンス部のみなさんの一糸乱れないお焼香・合掌・礼拝の姿勢に素晴らしいものを感じました。これが、優勝するチームだということです。
いよいよそれぞれの学年のフィナーレを迎えようとしています。この1年は、みなさんそれぞれにとって成長の1年でしたか。進歩の1年でしたか。
それでは、高校の終業式にもお話しました内容をご紹介いたします。
大谷光真前ご門主が昨年出版されました『人生は価値ある一瞬(ひととき)』という御本から「こころの進歩」と題する文章を紹介しました。
わたしたちは、生まれたときから常に、「進歩」することを生活の原理としています。学校では、多くの知識を増やして成績上位を目指し、会社に勤めると、業績を上げてより高い収入と地位を目標とします。近代の日本人を導いてきたのはこの「進歩」の思想で、確かに優れた点もたくさんありました。しかし、他方では、受験戦争など激しい競争社会を生み出してきたのも事実です。
こうした学歴や出世、収入などは、他人と比較して外から見える「進歩」だとすれば、同じ「進歩」でも、外から見えない「進歩」があります。自分の内面における「こころの進歩」です。
「こころの進歩」とは、ほかの人と比べてよりよい人間になることを言うのではありません。自分がいかにいたらない人間であるか、いかに自己中心的な人間であるかに気づきはじめることを言います。そこに気づけば、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という箴言(しんげん)にもあるとおり、おのずから他人に対して謙虚になります。
とはいえ、人間はなかなか自分を正しく見られません。ともすると、よい点は過大に認め、悪い点は割り引いて見るなど、自分に甘く、他人に厳しくなりがちです。自分のほんとうの姿は無意識に見ないようにしてしまうからで、それだけに、「こころの進歩」を意識して生きる必要があると思います。
このように記されておられます。さて、みなさんの「こころ」は「進歩」しましたか?
冒頭に申しましたが、学年のフィナーレを迎えて、この1年、あるいは2年で、みなさんの「こころ」は、どのように「進歩」しましたか?
「こころの進歩」とはね、中学の卒業式にも申しましたが、私たちの日常は「すべて他人が悪い」と思い、人の「良さ」や「痛み」に心を向けることなく、自己中心的に暮らしているのです。「自分は間違っていない、すべて他人が悪い」と思い込んでしまいがちなのです。
しかし、自分、他者のいのちを見つめ始めれば、自己中心的で傲慢な生き方が、「お陰さま」の中で暮らす柔らかな感謝の暮らしへと変わってくるのです。そして、自己を見つめたとき、自分自身のいたらなさを知り、素直な心と謙虚な心が芽ばえ、ここに「人」としての成長があるのです。
最後に、本年5月21日「龍谷大平安」は満140歳となります。その開校記念日を皮切りに全ての学校行事は140周年の記念行事となります。そして、11月12日(土)、ご門主様のご臨席を賜り、記念式典を挙行いたしたく思っています。みなさんにも何かとご協力をお願いすることとなります。
何とぞ宜しくお願いします。
このように今年は、龍谷大平安にとって記念すべき年です。目に見える華やかさではなく“目に見えないもの”の大切さ、「こころの知性」の大切さを再確認して、われわれは決して一人で生きているのではなく、他に支えられて生かされているからこそ、人と人との関係性を何よりも大切にしなければならないということを今一度肝に銘じておきましょう。
○平成28(2016)年度
おかげさまで~140周年~ありがとう“感謝”
このことをお伝えして私の式辞といたします。