学校長式辞
みなさん、おはようございます。
さて、この後みなさんには「人文字」にご協力いただかなければならないのですが、硬式野球部が第88回の選抜大会に4年連続40回目春夏通算73回目の甲子園に出場してくれます。
フェンシング部が男子が19年連続・女子が2年連続、卓球部が男子が18年連続24回目・女子が初出場、常連のチアダンス部、陸上部の中村僚真君が日本ジュニア室内陸上に出場してくれます。ゴルフ部の中野恵里花さんが全国大会に出場してくれます。競技かるた部も全国に駒を進めてくれました。各クラブの全国での活躍を心より期待いたします。
また、みなさんの後輩、中学のチアダンス部が、ダンスドリル・ウィンターカップにおいて、団体総合で2年連続で日本一に輝いてくれました。みなさんの活躍はめざましいものであります。
いよいよそれぞれの学年のフィナーレを迎えようとしています。この1年は、みなさんそれぞれにとって成長の1年でしたか。進歩の1年でしたか。
それでは、三年生の卒業式にお話しました内容をご紹介いたします。
大谷光真前ご門主が昨年出版されました『人生は価値ある一瞬(ひととき)』という御本から「こころの進歩」と題する文章を紹介しました。
わたしたちは、生まれたときから常に、「進歩」することを生活の原理としています。学校では、多くの知識を増やして成績上位を目指し、会社に勤めると、業績を上げてより高い収入と地位を目標とします。近代の日本人を導いてきたのはこの「進歩」の思想で、確かに優れた点もたくさんありました。しかし、他方では、受験戦争など激しい競争社会を生み出してきたのも事実です。
こうした学歴や出世、収入などは、他人と比較して外から見える「進歩」だとすれば、同じ「進歩」でも、外から見えない「進歩」があります。自分の内面における「こころの進歩」です。
「こころの進歩」とは、ほかの人と比べてよりよい人間になることを言うのではありません。自分がいかにいたらない人間であるか、いかに自己中心的な人間であるかに気づきはじめることを言います。そこに気づけば、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という箴言(しんげん)にもあるとおり、おのずから他人に対して謙虚になります。
とはいえ、人間はなかなか自分を正しく見られません。ともすると、よい点は過大に認め、悪い点は割り引いて見るなど、自分に甘く、他人に厳しくなりがちです。自分のほんとうの姿は無意識に見ないようにしてしまうからで、それだけに、「こころの進歩」を意識して生きる必要があると思います。
このように記されておられます。さて、みなさんの「こころ」は「進歩」しましたか?
冒頭に申しましたが、学年のフィナーレを迎えて、この1年、あるいは2年で、みなさんの「こころ」は、どのように「進歩」しましたか?
学校という学舎(まなびや)は、勉強を学ぶことはもちろんですが、それよりも何よりも集団生活の中で良き友人関係を構築する修練の場です。その土台になる感性、つまり「こころの知性『EQ』」を磨く大切な期間です。それぞれ3年生や2年生に進級しますが、「こころの進歩」を意識して、良好な人間関係を作ってください。
最後に、本年5月21日「龍谷大平安」は満140歳となります。その開校記念日を皮切りに全ての学校行事は140周年の記念行事となります。そして、11月12日(土)、ご門主様のご臨席を賜り、記念式典を挙行いたしたく思っています。みなさんにも何かとご協力をお願いすることとなります。
何とぞ宜しくお願いします。
このように今年は、龍谷大平安にとって記念すべき年です。目に見える華やかさではなく“目に見えないもの”の大切さ、「こころの知性」の大切さを再確認して、われわれは決して一人で生きているのではなく、他に支えられて生かされているからこそ、人と人との関係性を何よりも大切にしなければならないということを今一度肝に銘じておきましょう。
○平成28(2016)年度
おかげさまで~140周年~ありがとう“感謝”
このことをお伝えして私の式辞といたします。