学校長訓話
このたびの熊本地震により、犠牲となられたみなさまに哀悼の意を表しますとともに、被災されたすべてのみなさまに対し、心よりお見舞い申し上げます。九州地方では、今もなお余震が続き、不安と恐怖の中で多くのみなさまが、避難生活を余儀なくされている状況に直面し、心が痛む思いであります。
さて、学校における防災教育の目的は、自らの生命(いのち)を大切にし、他の人々を思いやるこころの教育と位置づけ、地域の安全に役立つための防災態勢を理解できることであります。この目的を具体化するための一つとして、安全行動ができる防災訓練が必要です。
生徒一人ひとりが、自分の身を自分の努力によって守ること(自己責任による自助の考え方)と、普段から顔を合わせているクラスの仲間が互いに協力し合いながら、防災活動に取り組むこと(助け合いという共助の考え方)が必要です。そして、この「自助」・「共助」に学校の危機管理体制という「公助」が有機的に繋がることにより、被害を最小限にとどめることが出来るのです。
とくに、クラスの仲間が協力し合う体制をつくったり、そうした活動、つまり「共助」は、自主防災活動の最も大切なことです。
今回の防災訓練は、地震を想定した避難訓練です。したがって、直ちに安全な場所への避難が必要になります。この訓練における注意点は、①避難指示の伝達 ②避難生徒人数の確認③安全な避難方法と避難経路の確認 の3点です。
地震など災害が発生した時には、正確で迅速な情報の収集と伝達活動が欠かせません。また、いかに冷静沈着な行動がとれるかということです。万が一にそなえ、今日の防災訓練が意義あるものとなりますよう願っております。
本日、お釈迦様の誕生をお祝いする花まつりの行事を約一ヶ月遅れで営みました。私たちの人生は、何が起こるかわかりません。この世の中はどんなことが起こっても不思議ではないのです。仏教というのは、思いもよらぬ災難が来ないように祈る宗教ではありません。どんな思いがけない災難にも耐え、それを乗りこえていく正しい「仏さまの『智慧』」の眼を開かせたいものです。
先にも申しましたが、東日本大震災から5年、阪神淡路大震災から21年がたち、この度は熊本地震で多くの方々が被災され、避難生活を余儀なくされ、今なお、苦しみや悲しみの中で生活されている方々に「慈しみ寄り添う心」をしっかりと持ちましょう。
今こうして今日が迎えられていることを、心から「ありがたい」と感謝いたしましょう。