【ご案内】
私が暮らす滋賀でも寺院やご門徒宅での報恩講が始まった。以前に比べると、寺院でつとめる報恩講のお座の数が減っている。同様に、ご門徒宅で営まれる報恩講も減少傾向に有り、お参りされる人も減ってきた。ご開山親鸞聖人のご門徒をお預かりしている身として、何とも恥ずかしく、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
いくら努力しても少子高齢化の流れは止まらず、空き家は増え続けている。こうした状況の下では、数百年にわたって護持継続してきた寺院の苦悩は計り知れないものがある。過疎化に歯止めがかからず、人が減ったかわりにサルやイノシシ、シカが横行し、住民はその対策に追われている。大都市では考えられない日常であり、こうした限界集落がそこかしこに増えている。
しかし、そんな中にも、ご法義を大切にしてお念仏を心の支えとして生きている人たちがいる。広い住まいに暮らす高齢者たちは、大きなお仏壇のお給仕を続け、決して投げ出すことなく、諦めてはいない。長年住み続けたわが家こそが安住の地であり、落ち着く場所なのだ。
報恩講のお参りの先々で広がる、喜びの笑顔。苦しみも悲しみも十分に味わってきたからこそ、お念仏の教えに耳を傾け、うなずく人たち。これまでの人生に感謝をしながら、今日を生かされる喜びをかみしめて「ありがたい」と合掌されるお姿が尊いとしみじみと感じる季節である。(F)
「2017(平成29)年11月1日(水曜日) 第3285号 本願寺新報 より」
報恩講とは…親鸞聖人の顕わされたお念仏に生きるものが、その御祥月命日を機縁として、み教えに出遇えた慶びと感謝の想いをこめて、その恩徳に報ずるために勤められるもので、真宗において最も重要な法要です。
親鸞聖人は承安3年4月1日(1173年5月21日)にご誕生され、弘長2年11月28日に90年のご生涯を終えられました。この日を西暦に当てると1263年1月16日となり、西本願寺では「御正忌(ごしょうき)」として1月9日から16日まで7昼夜にわたって厳修することになっていますが、一般では「御取越(おとりこし)」「御引上(おひきあ)げ」と称して、それぞれ日を定めて勤められています。
龍谷大学では、1639(寛永16)年に前身である学林を創立された西本願寺第13代良如(りょうにょ)上人の御祥月(ごしょうつき)命日に合わせて10月18日に厳修しています。
付属平安高等学校・中学校では、新暦の1月16日にお勤めすることとしておりますが、中学入試の日程によって、前後のご本山法要期間内になるべく厳修するようにしています。
底知れぬ虚偽の中に迷い、深い空しさの中に生きる私たちに対して、親鸞聖人が人の世に生まれ、真実をお念仏に求め、お念仏に生きられ、その真実を顕らかにして下さったことの意義を改めて自覚しましょう。
2017(平成29)年 “建学の精神”の伝播と醸成
11月 御命日法要
○ 日時 11月16日(木)16時~
○ 場所 礼拝堂
○ 法話 吉岡義信 師
◎ みなさん、お揃いでお参りください。