11月16日(土)、午後4時30分から龍谷大学深草キャンパス顕真館において、創立380周年記念式典が厳粛かつ盛大に挙行されました。
龍谷大学は、1689(寛永16)年に創立された西本願寺学寮(後に学林と改称)をその起源としています。1876(明治9)年に学制更改により大教校、1922(大正11)年には大学令により旧制大学として大学設立の認可を受け龍谷大学となり、1949(昭和24)年に新制大学として認可を受け、現在に至っています。当初は文学部のみの単科大学でしたが、現在は9学部1短期大学部を擁する総合大学として発展し、仏教系大学としては、唯一、理系学部(先端理工学部<2020/04より改組>、農学部)も開設されています。
2015(平成27)年には、当時の学校法人平安学園と法人合併を果たし、本校の設置法人ともなっています。
記念式典では、音楽礼拝、理事長式辞、浄土真宗本願寺派ご門主様祝辞、文部科学大臣祝辞に続いて、入澤 崇 学長から「龍谷大学からのメッセージ」が発せられました。その内容は、一部ではありますが、次のとおりです。
『自省利他の精神を根底にして』
龍谷大学は本年、創立380周年を迎えました。それにあたり、龍谷大学から新たな哲学を発信したいと思います。
新たな哲学、それは「自省利他」です。
いま、世界を見わたせば、排他的な考えが蔓延し、国家や地域間で、紛争がそこかしこで起きています。その結果、多くの子どもの未来が奪われ、貧困や飢餓がさらに追い打ちをかけています。経済格差や温暖化など、地球的視野で現代社会をみつめるならば、あまりに多くの深刻な課題があることに気づきます。
問題の本質はどこにあるのでしょうか?それは人間の「自己中心性」にあると私は考えます。
(中略)
創立380周年記念事業を実施するに当たり、自己中心性に気づくことから始めたいと思います。自分は果たしてこのままでいいのか。自分に欠けていることは何なのか。自分をありようを省みることが自己変革に繋がります。「自分のものさし」ではなく、「仏さまのものさし」で自分をはかれば、そもそも「自己なるもの」は虚妄であることが見えてきます。自分という存在は、他者との関係性から成り立っているのであり、他者との関係性を重んじる「気づき」が重要となってきます。
(中略)
大学は閉鎖的な存在であってはなりません。学術世界を世間の隅に封じ込めてはなりません。「学び」は成熟した人生、成熟した社会を創り上げる要です。他者との関係性を重んじ、他者の幸福に資することを考え行動する。教職員と学生が仏教の「利他の精神」に学び、創立380年を機に、改めて龍谷大学の使命を血肉化していきたいと考えます。