3月11日(木)、第1時間目と第2時間目、コロナウイルス感染症蔓延予防のため延期になっていた「第24回中学音楽祭」をやっと実施できました。とはいっても、時間短縮のため各クラス自由曲一曲のみの合唱です。生徒たちは、合唱ではあり得ないマスクを着用したままです。卒業式を4日後にひかえた3年生、体育祭も実施できず研修旅行も中止になった中で、中学最後の学校行事とあって、後輩たちの模範となる、これが龍谷平安の音楽祭だという素晴らしすぎる合唱を披露してくれました。
音楽祭からわずか4日後の3月15日(月)、晴天で暖かく絶好のお日和の中、「第74回龍谷大付属平安中学校卒業証書授与式」が、保護者の方々のご参列の下、厳粛に挙行されました。しかしながら、この晴の卒業式もコロナウイルス感染症蔓延予防のための時間短縮。ご来賓の方々のご祝辞を拝辞して、校歌をはじめとする歌唱の一切は発生することは叶いませんでした。
生徒の皆さんの9年間に及ぶ義務教育修了をお祝いする式典としては簡素に過ぎるもので、誠に申し訳なく、心苦しい限りです。
私の式辞の一端をご紹介いたします。
本年度は、新型コロナウイルスによる感染症の蔓延で、世情騒然とした中での卒業式となりました。ほとんどの学校行事が中止や延期に追い込まれる中での卒業式で、保護者の皆さま方のご理解や、学級担任の先生方を中心とする本校教職員の熱意にて、このように卒業式が挙げられますことを、まずもって校長として、誠に有り難く、謹んで衷心よりの御礼を申し上げます。
いま、私は有り難きことと申し上げました。平穏な日常の中で、当たり前と思い込んでいた事々が、現在のような異常ともいえる社会情勢の中では、実は決して当たり前のことではなかったと思い知らされます。東日本大震災のからもう十年、今年はその節目の年を迎えているわけですが、平和で、幸せで、豊かな日常は、ある日突然、そのすべてを失い、取り返しのつかない日々へと転落してしまうことがあります。
あなたたちのこれからの永い人生の中では、いろいろな困難や苦痛に直面するかとも思います。当たり前と思い込んでいたことが、実は決して当たり前のことではなく、実は有り難き、希有なことであったと思い知ることがあるはずです。
当たり前こそが、実は有り難きことであると、私は申し上げました。この理解から、皆さんが、ありがとう!ありがとう!の報恩感謝の日々を、日常の常として積み重ねられていかれることを、心の底より願い上げます。
最後に、高等学校進学にあたり、学校は修練の場である、決して自己を甘やかせず、学習においても生活規律においても、さらに一段の高見を目指してください。そのためには、高校生活の三年間に「これだけはやっておこう!」という目標と、「これだけは絶対にやるまい!」という心の戒めをもつことが大切です。
皆さんの四月からの高校生活が幸多いものであることを念じ、ありがとう!ありがとう!の報恩感謝の日々を積み重ねていかれることを大いに期待いたします。
式辞の一部ではありますが、本当に当たり前と思っていたかつての日常は、いまでは”有り難き”ことになってしまっています。音楽祭はもちろんのこと卒業式自体もそうです。
4月からの皆さんの高校生活が、なんとかこのコロナ禍を克服しての、幸多い実りのある日常となりますことを心より念じ上げます。
負けるな コロナに! ガンバレ 龍谷平安!!