平成24(2012)年度 第66回龍谷大学付属平安中学校卒業証書授与式
学校長式辞
春のお彼岸を目の前にし、厳しかった寒さで開花の遅れていた校庭の紅梅も見事に花を咲かせ、春の訪れを感じる今日の佳き日、龍谷大学付属平安中学校の第66回卒業証書授与式を挙行するにあたり、龍谷大学副学長、法人理事・評議員の先生方をはじめ、学園同窓会、親和会・平安会の役員のみなさま、多数のご来賓のご臨席を賜りましたことに、理事長とともに衷心より御礼を申し上げます。また、保護者のみなさま、ご子女の晴の卒業式典にご列席賜りましたことに、祝意ならびに謝意を表します。誠におめでとうございます。卒業生48名のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
それでは、私からみなさんに贈る言葉として、今年度の始まりにあたり始業式でもお話ししましたEQのおさらいをしたいと思います。
EQすなわち「こころの知能指数」とは何でしょう?それは、知能テストで測定されるIQとは質の異なる頭の良さです。自分の本当の気持ちを自覚し尊重して、自分自身で心から納得できる決断をくだす能力。いろいろな衝動、不安や怒りのようなストレスのもとになる感情を自分でコントロールする能力。目標を追い求めて、途中で躓(つまづ)いたときでも楽観を捨てず、自分自身を励ます能力。他人の気持ちを感じとる共感能力。集団の中で調和を保ち、協力しあう社会的能力、というような「情動の自己認識」(自分で自分の感情をしっかりと理解しコントロールすること)がEQの根幹であります。実は、このような他人に対する思いやり、自分の感情を抑えコントロールする、しっかりと廻りの状況を判断して調和を保ち、協力しあうことを重んずる価値観は、われわれ日本人の本質とも言えるのです。科学技術が発達し、すべてのことが、自分の思い通りになると錯覚してしまいがちな現代にこそ、IQのように数字では表せないEQ「こころの知性」の大切さを知って欲しかったのです。自分自身の感情や他人との関係をうまく処理する能力こそ、人生を最終的に大きく左右する知性であるからです。この一年間、色々な機会を通してEQという言葉、「こころの知性」の大切さを、日々申してきました。つまり「親切や思いやりという、こころの教育」こそが、龍谷大平安の真髄であり、これから高等学校に進学するみなさんが、色々な場面で対処する時の拠(よ)り所になると思っています。
さて、先週の火曜日から卒業生48人全員と数分間の面談をいたしました。平安中学の3年間を振り返り、今の気持ちは?という質問をさせてもらいました。私は本当に心から嬉しく思いました全員が口を揃えて、「楽しかった」「充実していた」「成長できた」「良き仲間に巡り会えた」「先生方が私たちと真剣に向き合ってくれた」と、まるで申し合わせたかのように、みんなが「楽しかった」「充実していた」と言ってくれました。私たち龍谷大平安の教員にとって、こんなに嬉しいことはありません。一日8人ずつ、六日間のみなさんとのお話は、束の間でしたが本当に楽しかったです。みなさん一人一人の顔に、満足感や充実感といった、何かをやり遂げた自信みたいなものが、漲(みなぎ)っていました。
先ほど、「こころの知性」の大切さを申しましたが、私があれこれと申す以前にみなさんは、「仲間に対して思いやりの心を持って、自分の感情をしっかりとコントロールして、協力、調和のこころ」を持って、3年間を過ごしてくれた証しであると思います。
よく成長してくれました、育ってくれました、心からありがとう。
最後に、このあと、平安高等学校に進まれる人、他校へ進学される人、今日を限りに進路はそれぞれ分かれますが、龍谷大学付属平安中学校で身につけた、素直な心と謙虚な心を持って高等学校でも頑張ってください。
感受性豊かなみなさんに涵養した龍谷大平安の宗教的情操が、みなさん一人一人にしっかりと染み込んだことをたいへん嬉しく思いますとともに、この心を持ち続けていただくことをお願いしまして、私の式辞といたします。