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平成25年度 後期始業式 2013年10月07日(月)11時50分

2013/10/7 後期始業式 学校長式辞

 みなさん、おはようございます。
 さて、明日10月8日は、二十四節気の一つ「寒露(かんろ)」であります。寒露とは、晩夏から初秋にかけて野草に宿る冷たい露のことを言います。秋の長雨が終わり、本格的な秋の始まりになります。この頃になると五穀の収穫もたけなわで、農家では繁忙を極めます。露が冷たい空気と接し、霜に変わる直前で、紅葉が濃くなり、大気の状態は安定して空気が澄んだ秋晴れの日が多くなります。夜には月も美しく輝いて見えます。みなさん、一度、空を見上げてみてはいかがでしょう。これまでと違った、秋の清々しさと趣を感じる空に出会えるはずです。いずれにせよ、この季節は、読書の秋・行楽の秋・芸術の秋・味覚の秋・スポーツの秋と最高の季節ですが、中でもスポーツは私たちを興奮させます。ちょうど1ヶ月前には2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定し、日本中が湧き上がりました。本校卒業生の太田雄貴選手も素晴らしいプレゼンテーションを披露し大活躍でした。
 本校の夏はと申しますと、今年の夏は、インターハイ出場のフェンシング部は全国3位、剣道部は全国ベスト8、チアダンス部は中学ソングリーダー部門優勝、高校はチア部門2位とソングリーダー部門3位という成績を残してくれました。スポーツだけではありません。写真部が全国高等学校総合文化祭に出品してくれました。硬式・軟式の野球部はいずれもこの夏は全国大会出場が果たせませんでしたが、硬式野球部は春の選抜大会に向けて好スタートを切り、昨日、秋季大会で優勝し、近畿大会出場が決定いたしました。近畿大会の活躍を期待し、選抜甲子園への出場を願っているところであります。また、8月31日と9月1日の2日間にわたって開催されました学園祭におきましては、今年の文化祭のテーマであります「彩」(~異なる色から新しい色へ~)にふさわしく、随所に新しい色が作り上がっていた文化祭だったと思います。そして、前期考査が終わり、試験休みに入りました。
 さて、いよいよ本日より後期がスタートいたしますが、昨年より、EQ「こころの知性」を磨くことをずっと言い続けております。今日は、この「こころ」ということについてお話しいたします。
 仏教で、心を湖の水面にたとえることがあります。湖は普段は静かで、夜になれば鏡のように月の影を映し出します。でも、一度風が吹けば、水面は波立ち、その美しい月も乱れて消えてしまいます。このたとえは、心はほんの小さなことでも乱れ、穏やかなままにしておくのがとても難しいということを意味しています。
 私たちは心が乱れたとき、気持ちを意識的にコントロールしようとしますが、でもそれは難しいことです。心を落ち着けようと思えば思うほど、心はそんな私たちの思いとは逆に、あちらこちらへさまよい出していきます。
 では、この乱れた心を落ち着けるには、どうしたらいいのでしょうか。実は、落ち着けようと何かをするのはかえって逆効果です。先ほどの湖の水面にたとえると、手を入れれば波立つし、風を止めることもできません。一度広がった波紋は、時間を逆戻りさせない限り消えることはありません。どうにかしようとあがけばあがくほど、それが乱れの原因を作り出すことになります。だから、EQ「こころの知性」を磨くことの大切さを言っているのです。別な言い方をすれば、心を育てようと言うことになります。
 仏教では、心を育てることをとても大切にしています。それというのも、今も申しましたように、心は自分の意思でコントロールすることができないものだからです。
 お釈迦さまは、心を、陸に打ち上げられ、もがきまわる魚にたとえられています。水を求めて もがきまわる魚を手で捕まえようとしても、ヌルヌルと滑るのでしっかりつかめませんよね。たいていは、そのまま逃げられてしまいます。同じように、形がなく、とらえどころのない心は、自分の意思でコントロールしようとすればするほど、いつの間にかスルリと私たちの手を抜け逃げていってしまうものなのです。
 では、心を育てるためにはどうしたらいいのでしょうか。
 仏教では3つのことを学ぶように勧めています。ひとつは、生活習慣を整えること。次に、心を育てること。最後に、智慧を高めることです。
 訓練されないままの心は、あちらにもこちらにも、好き勝手に行ってしまいます。だから、まずは具体的に変えることのできる日々の生活習慣や行動から変えることを目指すのです。規則正しい生活スケジュールを守ること。汚い言葉を使わないこと。暴飲暴食をしないこと。盗みや殺生をしないこと。
 このようにして生活を整えていくことで、心にも余裕が生まれてきます。基本的生活習慣を整え、それを続ける努力をしているうちに自然と心も育っていきます。だから、あまり無理に自分の心を抑えてコントロールしようと思わずに、焦らず少し時間をかけてみてはいかがでしょう。むしろ、心に余裕が生まれて初めて、心を成長させていく準備ができるのです。精神的な成長を目指すなら、まずは自分自身の行動を振り返り、良くないところを直し、良い習慣を持つところから始めてみましょう。常々言っている「基本的生活習慣の確立」、具体的には、「あ・じ・み・そ運動」ということになります。さらに、後期からみなさんには、五つの言葉の実践をお願いしたいと思います。
五つとは、「すみません」「はい」「おかげさま」「私がします」「ありがとう」です。
・「すみません」という反省の心、
・「はい」という素直な心、
・「おかげさま」という謙譲の心、
・「私がします」という奉仕の心、
・「ありがとう」という感謝の心
を「あ・じ・み・そ」の「あ(挨拶)」に加えて積極的に実践してください。
 後期のはじめにあたり、みなさんには、生活を整えて心に余裕を持つことをお願いして、私の式辞といたします。