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2020(令和2)年9月 今月の聖語・言葉について 2020年09月01日(火)09時00分

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今月の聖語・言葉を紹介します。

今月の聖語 ・・・ 正門聖語板
今月の言葉 ・・・ 教室掲示

□今月の聖語

蟪蛄(けいこ)春秋(しゅんじゅう)を識(し)らず 伊虫(いちゅう)あに朱陽(しゅよう)の節を知らんや  『往生論註』

 今年の夏は猛暑厳しく、お盆を過ぎても蝉の鳴き声が聞こえていました。ようやく9月に入りましたが、まだまだこの暑さが続きそうです。
今月の聖語は、中国浄土教の開祖である曇鸞(どんらん)大師の言葉です。「蟪蛄」とは蝉のことで、「伊虫」とはこの虫という意味、「朱陽の節」とは夏のことです。つまり、「蝉は、春や秋を知らない。だから、今が夏だということも知らない」という意味です。 
 私たち人間が夏という季節を知っているのは、春や秋、冬を知っているからです。蝉は夏に鳴き続け、秋を知らないまま命尽きてしまいます。蝉の命は短命で、夏の期間を一所懸命鳴いていると印象があります。蝉の種類によって異なりますが、蝉は地中で幼虫の期間がかなり長く、成虫になっても3週間から1ヶ月は生きます。小学生のころは蝉をよく捕まえたものですが、成虫した蝉はエサが木の樹液のみのため、飼っても一週間も生きられません。そういう理由から、「蝉の寿命は一週間」というイメージが定着していったようです。蝉が精一杯鳴きながら、この夏を生きた姿を見て、私たちの命も儚(はかな)く、限りがあるということをあらためて再確認したいものです。

□今月の言葉

あやまちを指摘する人は、宝のありかを知らせる人  『ダンマパダ』

人から叱られたり、注意されることは気持ちの良いものではありません。ときには腹が立つこともあるでしょう。相手の言い方にもよりますが、あなたのことを思って叱ってくれる存在がいるのなら、その人を大切にすべきです。そして、その人の言葉をしっかり受け止める姿勢を持ちましょう。
ところで、「怒る」と「叱る」の違いを知っているでしょうか。「怒る」というのは、自分が腹を立てたことを相手にぶつけることで、自分のためのものです。それに対して、「叱る」というのは、相手に良くなってもらいたいという気持ちがあり、これは相手のためのものです。ですから、本気で叱ってくれる人は、きっと大切なこと(=宝)を教えてくれているはずです。叱られたときに素直に受け止めることができれば、それが自分を成長させるきっかけになるのではないでしょうか。