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オンライン涅槃会 2021年02月09日(火)16時00分

本日は、本校の礼拝堂で涅槃会をお勤めし、今回もオンライン配信となりました。涅槃会とは、仏教を開かれたお釈迦さまが亡くなられて涅槃に入られた日(2月15日)に行われる行事です。

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 この度のご講師は、相愛大学教授(副学長)の釈徹宗先生でした。

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まず最初に、私たちの脳は、二項対立で物を把握するというお話をされました。二項対立でものごとをとらえると、私たちは攻撃的になったり、排除的になったりする。日本赤十字社が昨年の春に発表した感染には、三段階あるそうです。一段階目はウイルスの感染、二段階目の感染は不安やおそれの感染、三段階目は攻撃や排除の感染というものです。それは、ウイルス感染が拡大すると、世界全体が不安やおそれが起こり、そして攻撃的で排他的になっていくということです。仏教の教えに照らされることによって、私たちの心と体は柔らかくなっていきます。釈先生は、「第一と第二の感染は避けられないものの、とくに第三の感染は二項対立の罠であり、心と体を柔らかくして気をつけなければなりません」と強調されました。

 次に、本願寺の大谷光淳ご門主がお示しになられた「私たちのちかい」を紹介されました。この内容を釈先生がわかりやすく解説された冊子があり、本日の行事の前に全学年で配布し、生徒たちには一読するよう促しました。


私たちのちかい  一、自分の殻(から)に閉じこもることなく
           穏(おだ)やかな顔と優しい言葉を大切にします
           微笑(ほほえ)み語りかける仏さまのように
         一、むさぼり、いかり、おろかさに流されず
           しなやかな心と振る舞いを心がけます
           心安らかな仏さまのように
         一、自分だけを大事にすることなく
           人と喜びや悲しみを分かち合います
           慈悲(じひ)に満ちみちた仏さまのように
         一、生かされていることに気づき
           日々に精一杯(せいいっぱい)つとめます
          人びとの救いに尽くす仏さまのように

 釈先生は、そのうちの1つ目をわかりやすく解説されました。ときには自分の殻に閉じこもることも大切ですが、閉じこもってばかりいると、自分というものが大きくなり苦しみも大きくなっていくのです。穏やかな顔と優しい言葉というのは、しなやかな心への第一歩であり、お経に出てくる「和顔愛語」という言葉をわかりやすく表したものです。
 次に、4つ目の「気づかされていることに気づく」という言葉に注目され、仏教という鏡のお話をされました。私たちはどうやって気づいていくのか。仏教という鏡は、自分の心の中も見事に映す鏡(あるものをそのまま映す心)であり、私たちはどうしても「自分の都合」というフィルターで映してしまいます。だからこそ、仏教に照らされることによって、少しでもフィルターを通さずに見ていくことができるのではないでしょうか。
 この「私たちのちかい」を通して、あらためて考えてみたいものです。