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2021(令和3)年3月 今月の聖語・言葉について 2021年03月01日(月)09時00分

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今月の聖語・言葉を紹介します。

今月の聖語 ・・・ 正門聖語板
今月の言葉 ・・・ 教室掲示

【今月の聖語】
「凡夫(ぼんぶ)」といふは、無明(むみょう)煩悩われらが身にみちみちて、欲もおほく、いかり、はらだち、そねみ、ねたむこころおほくひまなくして        『一念多念文意』

今月の聖語は、親鸞聖人の言葉です。この後に、「臨終の一念にいたるまで、とどまらず、きえず、たえず」という文章が続きます。「凡夫」というのは、わたしどもの身には無明煩悩が満ちみちており、欲も多く、怒りや腹立ちや、嫉み、妬みの心が起こり、まさにいのちが終わろうとする時まで、止まることもなく、消えることもなく、絶えることがないという意味です。 
「凡夫」とは、煩悩にまみれた私たち人間を指し、「無明」とは真理があることを知らず、何も見えない闇の中にいる状態のことです。無明であるために、私たちは思い悩み、煩悩が生じてくるのです。それはまるで湧き水のようなものであり、さまざまな煩悩が次から次へと湧き起こってきます。これを止めたり、消そうとしても、煩悩はなくなるものでありません。しかし、自らの心の状態を把握することによって、少しでも欲をコントロールしていけるのではないしょうか。


【今月の言葉】
自分を苦しめず、また他人を害しないことばのみを語れ。
これこそ実に善く説かれたことばなのである。      『スッタニパータ』

お釈迦さまは、「自分を苦しめず、また他人を害しないことばのみを語れ」と仰せです。他人に対して悪口を言ったり、暴言を吐くことによって、簡単に相手を傷つけてしまう。そして、それは自らの思考や行動にまで影響しはじめ、次第に自分自身を苦しめることにもつながります。それだけ言葉による影響力は強いのです。
近年、SNS上などで言葉による誹謗中傷によるトラブルが多く見られます。インターネットを通じて、文字という形で気軽にやりとりができる時代ですが、顔が見えないなどの理由から、相手の気持ちを考えないような書き込みがなされています。決して面と向かっては言えないことでも、文字なら簡単に言えてしまう傾向にあるようです。言葉を交わすにしても、常に意識して発しなければなりません。
仏教では、相手のことを思いやり、優しい言葉をかけることを「愛語」といいます。よく「和顔愛語」という言葉で表されますが、その言葉どおり、おだやかな顔で、相手を思いやる優しい言葉で接するように心がけたいものです。