今日は花まつりをお勤めし、今回は校内で実施することができました。
花まつりは、仏教をお開きになられたお釈迦さまの誕生をお祝いする行事です。4月は入学式などの行事と重ねるため、平安では1ヶ月遅れて行っています。
1限目は中学生・高校1年生の部で、中学生が講堂、高校1年生が各教室並びに礼拝堂(講堂から配信)でした。そして、ご講師である田坂亜希紀子先生(浄土真宗本願寺布教使)のご法話をいただきました。
田坂先生は、3年ほど前にウズベキスタンに旅行されました。ウズベキスタンはとても平和な国で、とても乾燥した地域のため雲がない澄みきった空でありました。そして、第二次世界大戦の時にシベリア抑留で連れてこられ、強制労働を強いられた日本人墓地があり、884名の方がウズベキスタンの地で亡くなったそうです。ガイドさんのお話では、彼らが作ったナボイ劇場(舞台公演などを目的とした建物)があり、1966年に大きな地震が起こった際、ナボイ劇場は被害を受けず多くのウズベキスタン人の避難場所になったそうです。ウズベキスタン人にとって「私たちのいのちを守ってくれた」という思いがあり、今でも日本人墓地を守りぬいているということでした。
そのお話を通じて、田坂先生は「歴史の勉強をしてほしい」という思いを語られました。今までに長い歴史があって、生きてこられた方たちがいる。生きていくなかで、迷ったり悩んだりすることがある。そんな時、どういう風に生きていったらいいのか。その道しるべになるのが歴史であり、そのよりどころとなるのが仏さまの教えであるとおっしゃいました。
3限目は高校2、3年生の部で、高校2年生が講堂、高校3年生が各教室並びに礼拝堂(同じく講堂から配信)でした。そして、ご講師である鴬地清登先生(浄土真宗本願寺布教使)のご法話をいただきました。
鴬地先生は、最初に「天上天下唯我独尊」の意味を説明されました。この言葉は事実ではなくて真実を伝えてくださっているものであり、決して他人と比べて尊いと言ったわけではなく、誰とも比べることなく誰もがかけがえのないいのちを生きているだということです。そして、お釈迦さまは「いつでもどこでもどんなときでもあなたを救う仏さまがおるぞ」と教えてくださっており、それが阿弥陀仏という仏さまなのです。
続いて、鴬地先生は「プロフェッショナル仕事の流儀」というドキュメンタリー番組を紹介されました。横浜市のゴミ収集員をされている岳(たけ)裕介さんという方にスポットを当てた内容でした。横浜市は人口370万人で、年間のゴミの量は122万トン。全国の市町村の中で一番多い地域で、岳さんは深夜2時から仕事をされ、勤めた当初は「臭い」とか「汚い」という声が聞こえてくる悩まれる時期があったようです。しかし、偏見の中にある仕事ではあるけれど、わかってくれている人がいることに気づかれた岳さんは、「ゴミ収集員だということを卑下していたのは自分自身であり、自分が変わらなければまわりは変わらない」と思われました。
「自分だったら口には出さないけれど、心の中で臭いとか汚いと思ってしまうかもしれない」と思われた鴬地先生もまた、「そういうゴミを出したのは誰かというと、この私なんだ」ということに気づかされたとおっしゃいました。
最後に、「仏さまに手を合わせるということは、仏さまの智慧をいただくということであり、知識よりも智慧を学ばせていただくことが大切だ」と語られました。