今月の聖語・言葉を紹介します。
今月の聖語 ・・・ 正門聖語板
今月の言葉 ・・・ 教室掲示
【今月の聖語】
大悲(だいひ)ものうきことなくて つねにわが身をてらすなり 『高僧和讃』
親鸞聖人は、『高僧和讃』に「煩悩にまなこさへられて 摂取の光明(こうみょう)みざれども 大悲ものうきことなくて つねにわが身をてらすなり」 と詠(よ)まれています。私は煩悩によって眼が遮(さえ)ぎられ、救い取ってくださる光は見えないけれど、阿弥陀さまの大いなる慈悲は、常に私を照らしてくださっているのだと喜ばれておられます。
朝の仏参をはじめ、宗教行事等で阿弥陀さま(ご本尊)に手を合わせますが、普段はついつい阿弥陀さまのことを忘れてしまっているのではないでしょうか。阿弥陀さまはよくお母さんにたとえられます。皆さんは、自分のお母さんに対して、反発したり口答えをした経験はありませんか。たとえそっぽを向いても、お母さんはそんな私を見捨てず、常に私のことを思ってくれていると思います。そのことに気づけたなら、常に私のことを思ってくれているのだと感謝の気持ちが起こるでしょう。それは阿弥陀さまも同じであり、今月の聖語を通してそのことを忘れないようにしたいものです。
【今月の言葉】
すべての者は暴力におびえる。すべての生きものにとって生命は愛おしい。
己(おの)が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。 『ダンマパダ』
今年の春頃から、アメリカ国内でアジア系の人たちが突然暴力行為を受けるといったニュースが、テレビなどでよく報道されています。新型コロナウイルスの発生源が中国にあるとして、アジア系の人たちを標的にしたのです。すでに昨年から医療従事者への暴力行為が世界中で起こっており、今回のようなヘイトクライム(憎悪犯罪)がより急増しています。たとえば、街中で見知らぬ白人から顔を殴られたり、電車内で一方的に暴行されるなどといった行為です。さらに殺害事件まで至ったケースもあり、あらためて暴力とはおそろしいものだと感じました。
今月の言葉はお釈迦さまのお言葉ですが、自分の身に置き換えて、あらゆる生命を傷つけてはいけないし、奪ってもいけないのです。そして、この「自分の身に置き換える」ということが大切であり、一人一人がそのことを意識する必要があるのではないでしょうか。
お釈迦さまは「あたかも、母が己が独り子を命を賭けて守るように、そのように一切の生きとし生けるものどもに対しても、無量の慈しみのこころを起こすべし。全世界に対して無量の慈しみの心を起こすべし。上に、下に、また横に、障害なく怨みなく敵意なき慈しみを行うべし」とも語っておられます。このお言葉と合わせて、今月の言葉について考えてみましょう。