今月の聖語・言葉を紹介します。
今月の聖語 ・・・ 正門聖語板
今月の言葉 ・・・ 教室掲示
【今月の聖語】
貪愛(とんない)の心、常によく善心を汚し、瞋憎(しんぞう)の心、常によく法財を焼く。『教行信証』
今月の聖語は、親鸞聖人の著作である『教行信証』に記されている言葉です。貪愛の心とは、欲望にまかせて貪(むさぼ)り求めようとする心のこと。瞋憎の心とは、自分の思い通りにならないことに対して、怒りや憎しみの感情を抱くことです。ここでいう善心とは、自分らしく生きたいという思いを指し、法財とは自分という存在を表しています。親鸞聖人は、欲望にまかせて貪ることが、自分らしく生きたいという心を覆い隠し、そこから起こっている怒りや憎しみが自分を壊してしまうと述べられています。この貪りを生み出すのが、執着(とらわれの心)にほかなりません。欲しいものが出てくると、「あれが欲しい、これが欲しい」という欲望が生じます。そして、欲しいものが手にはいらないと怒りが生じ始めます。その怒りは周囲に害を与え、ついには自分さえも壊すことにもつながります。こうした心が日常生活で湧き起ってくる中、少しでもそうならないようにしっかりと自分を見つめることが大切です。
【今月の言葉】
この身に受けているいのちは限りないつながりと
限りない関わりのうえに賜(たまわ)っている 宮城顗(しずか)
6月は梅雨の時期です。雨の日が続けば、どんよりした気持ちになりますが、植物にとっては恵みの雨で必要不可欠なものです。また植物に限らず、私たち人間にとっても、雨が降らなければ稲や野菜などが実らず、私たちの生活にも大きな影響を及ぼします。仏教では、こうしたつながりを「縁起」という言葉で表します。すべての物事が互いに関わり合って存在しているということです。数かぎりない縁(多くのいのち)によって、私たちは生かされているということです。私たちは食事をする時、肉や魚など多くのいのちをいただきます。だから食べる前に「いただきます」、食後に「ごちそうさま」という感謝の言葉を言うのです。食べ物をいただくということは、いのちをいただくということなのです。
ところで、まだまだ新型コロナウイルスの感染がおさまらない中、4月より各クラスで昼食指導が続いています。これを機に、今年度から中学だけでなく高校でも、浄土真宗本願寺派が奨励する「食前のことば」「食後のことば」の唱和を実施しています。今月の言葉と合わせて、私のいのちがどういう経緯で成り立っているのかを、あらためて考えてみましょう。
宗教教育係