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2024(令和6)年6月 今月の聖語・言葉について 2024年06月01日(土)09時00分

今月の聖語・・・正門聖語板
今月の言葉・・・教室掲示

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【今月の聖語】
あたかも一つの岩の塊(かたま)りが風に揺(ゆる)がないように、賢者は非難と称賛とに動じない。 『ウダーナヴァルガ』

 「賢者」とは、何事にも動じないで、心が乱れない人のことです。他人から非難されることは、誰にとっても不愉快なことであり、なかなか動じずにはいられません。そのことをひどく気にして、落ち込んでしまいます。逆に、他人から称賛される(褒められる)と嬉しいものです。ちょっと褒められただけで、人はすぐ有頂天になります。
お釈迦さまのように優れた方であっても、当時はさまざまな人から非難され、ときには中傷や迫害を受けました。しかし、お釈迦さまはそれらに対して、一切弁解しませんでした。仏教には「忍辱(にんにく)」という言葉があり、こうした非難などに耐え忍ぶことを教えています。どれだけ非難や称賛という強い風を受けたとしても、私たちも一つの岩の塊りのように動じず、じっと耐えて冷静に対処できるように心がけたいものです。


【今月の言葉】
あたかも、母が己の独り子を命を賭けても護るように、そのように一切の生きとし生けるものどもに対しても、無量の慈しみのこころを起こすべし。 『スッタニパータ』

 いよいよ六月に入り、梅雨の時期がやってきました。日本ではだいたい一ヶ月ほど続きますが、インドでは雨期が三、四ヶ月も続くそうです。お釈迦様は、雨期に芽生える草木を枯らしたり、繁殖する虫に対して殺生(せっしょう)することを防ぐため、外での修行を禁じて一ヵ所に定住するよう勧められました。そして、母親がわが子を命がけで護るように、一切の動植物のいのちに対しても、はかりしれない慈しみのこころを持つように言われています。私たちの日常で考えてみると、ついつい虫を殺したり、花を枯らしてしまったという経験があると思います。お釈迦様のように、全ての生き物に慈しみのこころを持つことは簡単なことではないかもしれません。ですが、少しでも意識して思いやりのこころがあれば、この無量の慈しみのこころを起こすことはできるのではないでしょうか。

合掌