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11/11講堂仏参 2024年11月11日(月)12時38分

本日の仏参講話は、2年2組副担任の中村先生でした。

先日、中村先生は娘さんと図書館に行かれた際、手に取られた本について紹介されました。今から10年ほど前に建国し、内戦が続いていた南スーダンで、1人の報道写真家が撮影した「ハゲワシと少女」が波紋を呼びました。1994年にその写真が新聞に掲載され、撮影者はケビン・カーターという報道写真家でした。カーターが現地で通りかかりの際、少女が甲高い声を挙げながら2、3歩歩きうずくまりました。そこにハゲワシが現れ、少女に近づいていったのです。思わずカメラのシャッターを切ったカーターでしたが、撮り終えた後、木陰に腰を下ろして泣き続けたそうです。その写真の反響はすさまじく、内戦地域の現状をよく伝えたということから、彼はピュリッツァー賞を受賞しました。評価されたと同時に、彼に対して「なぜ少女を救わなかったのか」という批判へと変わっていったのです。その後、彼は自殺したのでした。責められたことを苦に自殺したというのが一般的な見方ですが、家族はそのことを真っ向から否定しています。

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中村先生は、その本を通して「いい成績を取りたいために勉強するのではなく、自分の問いを持って、自分で考える。たとえば、なぜ民族紛争が起こるのか。飢餓や難民問題はなぜ起こるのか。そうした自分なりの問いを立て、それを伝える」と生徒たちに話されました。その本には、「おすそ分け」という著者の言葉があります。中村先生がたまたま図書館で手に取った本を読まれ、その内容を講話で聞いている生徒たちと分け合う。生徒たちはそれぞれの思いを持って、家族や友だちと話し合っていくことで広がっていく。最後に、中村先生は、「学びのリレーとも表現され、いろいろな人に伝わっていくことで問題解決につながっていきます」と述べられました。