4月29日,京都府私立中高理科研究会主催の春の自然観察会に,ネイチャー部員4名と教員3名で参加してきました。
この行事は毎春に行われていたものですが,昨年夏の現地研修会と同様に,コロナ禍による3年間のブランクを経てようやく実施となったものです。
今回は,京都の左京区久多にある八丁平が観察地となりました。
八丁平は,琵琶湖に注ぐ安曇川の支流,江賀谷川の水源にあたり,近畿地方では珍しい5haほどの高層湿原です。冷温帯の気候のため,落葉広葉樹が広がり,湿原特有の珍しい植物が観察できるところです。
朝8時30分に各校から50名余りの参加者が集合し,宝ヶ池からマイクロバス2台に分乗して現地に向かいました。
10時半ごろに出発点の二ノ谷管理小屋前に到着し,そこから徒歩で八丁平へ向かいます。
しばらくは植林されたスギ林やヒノキ林の間を歩きますが,林床にはさまざまなキノコや原始的なシダのなかまのヒカゲノカズラなどが見られました。
1時間ほどの山道を抜けると,峠のところで一気に風景が変わり,八丁平の落葉広葉樹の明るい林が広がります。
そこからは八丁平に向けて,なだらかな坂をブナやクリの木立や,ウリハダカエでの新葉,谷あいにトリカブトの群落などを観察しながら下りました。
今回は本校の教員が講師役で,植物の説明に加えて,人工林と天然林の違い,燃料としての炭焼きの歴史,シカの食害と植生の保護などの解説を他校の生徒と一緒に聞きながら,八丁平の湿原をゆっくりと歩きました。
昼食も含めて1時間ほどで八丁平を一周し,元のルートで出発点まで戻り,バスで集合場所の宝ヶ池まで帰りました。
当日は雨の心配もあったのですが,バスの帰り道で小雨が降り始め,山中では雨にも降られなかったのが幸いでした。
一日ゆっくりと自然に接することができ,良い観察会になったと思います。