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文月の茶の風景1 2015年08月03日(月)18時18分

■7月の活動①■
7月12日(日)
平安神宮澄心亭月釜
平安神宮の神苑内に建てられた「澄心亭」で行われる月釜に参加させていただきました。
今月は藪内流竹風会京都支部のご担当であるということで、無理を言って実際の茶会を経験させていただきました。1年生にとっては本物のお茶会デビュー戦です。2・3年生にとっても『大人の』お茶会は初体験です。
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当日は、梅雨明け前にもかかわらず、気温がぐんぐん上昇し真夏日…みんな汗だくです(^_^;ゞ
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今回は、茶室の設えの中心となる「掛け物」について…。
待合ではまず床の間や会記(茶会で使用する道具などを記した記録表)を拝見するのですが、なぜ見るのかをまず理解してもらう必要があります。まず最初に掛け物を拝見しますが、お軸に書かれた文字が高校生には読めない…(笑)

現代では、書道をやっていて、仮名や漢字の崩し字を実際に書いたことがある、あるいは、大学などで古典文学を専門的に学んだ経験がある者など、必要に迫られて?あるいは読みたいと思ってかなり努力をした者でないと、なかなか読解しがたい『謎の古代文字』ですので、高校生にとってはかなりハードルが高いものの一つです。その点、画賛などのように画があると、伝えようとする意図が掴みやすく理解が進むと思われます。

待合の掛け物は藪内流十一代透月斎竹窓宗匠(とうげつさいちくそうそうしょう)の竹の絵の自画賛「葉葉清風を起こす」
吹き抜ける涼風に竹の葉がさらさらと音をたて、(心の中に)ひときわ涼しさを引き立てるようです。暑さ厳しき折に、待合の中で、心に吹く爽やかな風を感じ、亭主の深い心遣いを感じます。

本席の掛け物は十二代家元 猗々斎竹風宗匠(いいさいちくふうそうしょう)の自画賛で長刀鉾が描かれています。「くじ取らず」として三十三基の山鉾の先頭に立つ、言わずと知れた、祇園祭のシンボル的存在です。

画に添えられているのは七言の賦(ふ)です。(文字は左から右に並んでます)

 丁未 賦 祇園會
棚 車 奏 樂 響 長 空
晄 帯 朝 暾 進 向 東
祭 祀 盛 儀 無 本 比
萬 人 讚 仰 満 洛 中
       藪 紹智

祇園祭の情景が視覚聴覚を刺激しながら活き活きと伝わってくるような内容です。

掛け物に書かれるものは漢文・漢詩・和歌・消息(手紙)etc.…短いものから長いものまで様々です。これが少しでも読めるとかなり嬉しいものです。部員には、最初から読めないと考えるのではなく、一文字でも二文字でも読むことにチャレンジしてもらいたいです。もちろん、内容についても、古典の学習は必須ですよ。いろんな場面で、習った知識が登場して驚くはずです。(掛け物の写真は差し障りもあるので掲載しません。申し訳ありません。)

お茶会の後は、平安神宮の神苑内をのんびり散策して帰ってきました。のびのびとした緑豊かな環境でみな、楽しんでおりました。ふと気付いたのですが、京都の街中でありながら、ここは木々の間からもビルなどが全く視界に入らない(見た記憶がない…)素晴らしい環境です。
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お茶会では、不慣れな中高生が大人数で押し掛けてしまい大変ご迷惑をお掛けしました。
お陰様で、本物を体験させていただくことができ、部員たちも貴重な経験になったと思います。厚く御礼申し上げます。